特集 DNP(Doctor of Nursing Practice)が未来を切り拓く—「研究」と「実践」をつなぐ高度実践看護師の新たなチャレンジ
DNPプロジェクトの具体例
進行膵臓がん患者に対する早期からの看護師主導の専門的緩和ケアプログラム導入までのプロセス
中野 真理子
1
1順天堂大学医学部附属順天堂医院がん治療センター
pp.270-275
発行日 2025年6月15日
Published Date 2025/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002283700580030270
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プロジェクトに取り組むきっかけ
筆者は,がん看護専門看護師(Oncology Certified Nurse Specialist:以下,OCNS)として,がん相談支援センター,緩和ケアチーム(Palliative Care Team:以下,PCT)に所属している。今回,「進行膵臓がん患者に対する早期からの看護師主導の専門的緩和ケアプログラムの実装」をテーマにプロジェクト研究に取り組んだ。このテーマに取り組んだきっかけの1つは,膵臓がん壮年期患者への関わりからであった。
A氏は,壮年期進行膵臓がん男性患者で,外来にて抗がん剤治療を継続していた。最終的に診断されて約2年後に全身状態が悪化して緊急入院となり,積極的な治療ができない状態となった。入院後にPCTが介入し,療養の場の意思決定支援,遺される妻や子どもへの家族ケアなどを行ったが,A氏は入院して7日後に永眠となり,小学生の子どもへの病名・病状告知は亡くなる2日前であった。病棟看護師,PCTともに,何かもっとできることはなかったのか,もっと早期から関わることができなかったのかという不全感が残る事例であった。

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