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はじめに:その再検査,本当に必要ですか
冒頭から話の腰を完全に折るようで大変申し訳ないのですが,筆者は画一的な再検査基準の設定は不要であると考えています.仮に基準を設けるとしても,施設や運用によって,その設定方法や値が大きく異なりますので,共通の枠組みで解説することは難しいです.
一例ではありますが,アルカリフォスファターゼ(alkaline phosphatase:ALP)が400U/Lであった場合を考えてみましょう.クリニックや検査センターでは遭遇する機会が少なく,再検査を要すると判断される値かもしれません.一方で,背景に胆道閉塞があれば妥当な値だと考えられることもありますし,小児専門病院であれば基準範囲内であることも少なくないでしょう.単一の測定値のみで結果の妥当性を判断することはできません.
“この値を超えたから再検査をして結果を報告する”という対応は,測定値の妥当性評価を形式的な閾値判定に委ねてしまっており,臨床検査技師が判断を放棄していると受け取られる可能性すらあります.そもそも,再検査基準を超えていないからといって,それが正しい結果であるとは限りません.
臨床検査データは,その時々の患者の病態を反映するものです.医師は,患者の状態や病態を判断するため,すなわちデータが変動する可能性があるからこそ,検査を依頼します.“変わっていないこと”を確認する検査目的の場合もありますが,いずれにしても,臨床検査データは変わってしかるべきものなのです.
そこで本稿では,得られた検査結果の妥当性をどのように評価すべきかということに重点を置き,解説します.読み終えたときには,再検査基準の設定どころか,「現在の技術水準では,そもそも再検査自体が不要なのでは?」と感じる方もいることでしょう.そうです,自分でハードルを上げていくスタイルです.

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