特集 CURRENT TOPICS わが国から胃がんを撲滅するための方策
巻頭言
浅香 正博
1
1北海道医療大学学長
pp.17-17
発行日 2018年7月10日
Published Date 2018/7/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.14.01_0017-0017
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慢性胃炎への除菌の保険適用によって保険を使用した内視鏡検診ともいえる状況が作り出されてきた。ピロリ菌の除菌とその後の継続的な内視鏡検査によって,胃がんの発生が減少し,発生したとしても早期のうちに発見可能となるので,胃がん関連死は劇的に減少していくと考えられる。保険適用後,除菌数は急速に増え,4年間で約600万件に達した。その結果,2014年から胃がん死亡者数は減少を始め,2016年には保険適用前と比較すると9.2%もの減少を示した。40年にわたって年間約5万人が死亡している胃がん死亡者数の減少は,ピロリ菌除菌の慢性胃炎への保険適用の効果以外には考えられない。このようにわが国のピロリ菌除菌による胃がん予防は世界のトップを走り始めている。このような胃がん撲滅計画が実行できるのは,早期胃がんの診断,内視鏡治療が世界で最も進んでいるわが国だけである。
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