特集 漢方医学の妙諦を探る
漢方医学が得意とする婦人科症状:その発症メカニズムと治療効果 (3)耳鳴り
齋藤 晶
1
1和光耳鼻咽喉科医院院長/武蔵浦和耳鼻咽喉科
キーワード:
耳鳴
,
女性
,
漢方薬
,
耳管開放症
Keyword:
耳鳴
,
女性
,
漢方薬
,
耳管開放症
pp.57-60
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.26.04_0057-0060
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耳鳴は,厚生労働省の「平成28年 国民生活基礎調査」において人口1,000人あたり男性26.3人,女性31.8人がきたしており,60歳以上では男性が多く,10〜59歳までは女性が多い。女性が男性より多く,難聴・耳鳴をきたす疾患もあるが,女性ホルモンがどのように関与しているかは不明である。聴覚路の障害のために音の入力が不足することにより,中枢で音に対する感度が増大した状態が耳鳴と考えられる。不安,怒り,うつなどの精神的要素や,血圧変動,過労などの身体的要素が耳鳴を修飾する。漢方医学的には,脳へ気血が適切に届かなくなったときに耳鳴が生じると考えられ,気血水いずれの異常でも起きうる。音の入力不足を改善する目的で,補聴器を装着することなどにより耳鳴の消失が期待できる。薬物療法が行われることが多いがエビデンスは低い。低音障害型難聴は利水剤が投与されることが多い。耳管開放症は体重減少,妊娠,避妊ピルなどが原因となり,補中益気湯(ホチュウエッキトウ)や加味帰脾湯(カミキヒトウ)が投与されることが多い。耳鳴を修飾する要素の改善を目的として投与されることが多く,精神的要素が影響する耳鳴,加齢変化,更年期障害に伴う耳鳴などに投与されるが,個々の体質にあった漢方薬を選択する。「KEY WORDS」耳鳴,女性,漢方薬,耳管開放症
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