特集 DOHaD
特集にあたって
倉智 博久
1
1大阪母子医療センター総長
pp.10-10
発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.22.04_0010-0010
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Developmental origins of health and disease(DOHaD)とは,生涯の早い時期(胎児期・幼小児期)の環境がその後の生活習慣病や精神疾患などの発症に大きな影響を与えるという概念である。Barkerらは低出生体重(low birth weight;LBW)児には成人してからの冠動脈疾患が多いことを報告した。多くの疫学的観察からBarkerらは,たとえばインスリン抵抗性をもつことが飢餓に備える胎児期の適応であるという,“倹約表現型仮説”を提唱したが,その後,この説の限界も指摘され「発達期の環境の変化に対応した不可逆的な反応が生ずると,発達の完了した時期の環境とマッチすれば健康に生活でき,マッチしなければ成人期のさまざまな疾病の源となる」という考え方が提唱された。さらに,公衆衛生学的な啓蒙,疾病予防に資することも意図してDOHaDという言葉が使われることとなった。
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