特集 こどもの心電図と心エコー図―ファーストタッチから専門診療まで―
Ⅳ.小児心筋・冠動脈疾患の心電図と心エコー図
33 心筋症
廣野 恵一
1
1富山大学附属病院小児科
pp.225-231
発行日 2025年10月20日
Published Date 2025/10/20
DOI https://doi.org/10.34433/pp.0000001900
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
肥大型心筋症
1.肥大型心筋症の概要
肥大型心筋症とは,著明な心筋肥大により心室内腔が狭小化し,拡張障害を呈する疾患である1)2).特に非対称性中隔肥大(asymmetric septal hypertrophy:ASH)が特徴的であり,心室中隔上部の肥大が著しい場合には左室流出路狭窄(閉塞性肥大型心筋症)をきたすことがある.これにより,心室への流入血液量が減少し,心拍出量の低下や心筋虚血を伴い,息切れ,胸痛,失神,さらには運動中の突然死の原因となる.なお,本疾患は家族性に発症することが多く,常染色体顕性遺伝(優性遺伝)形式をとることが一般的である.治療としては,まず症状の緩和および突然死リスクの低減を目的とする治療が行われる.β遮断薬が基本治療として用いられ,十分な効果が得られない場合はカルシウム拮抗薬の使用や,重症例において外科的介入(左室中隔筋切除術,植込み型除細動器の挿入など)が検討される.

Copyright © 2025, SHINDAN TO CHIRYO SHA,Inc. all rights reserved.