連載 漢方よもやま話・第11回
女神散
能㔟 充彦
1
1名城大学薬学部生薬学研究室
pp.1292-1295
発行日 2024年11月1日
Published Date 2024/11/1
DOI https://doi.org/10.34433/og.0000000940
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1.はじめに
今回ご紹介する処方は女神散です.原典は,浅田宗伯の「勿誤薬室方函」や「勿誤薬室方函口訣」ですから,日本でできた処方です.浅田宗伯が常用していた処方の1つということですが,元々は「安栄湯」と名づけられた処方だとされ,戦場で感情が鬱結した結果生じた心身症,神経症(「軍中七気」という)を治す処方であったものを,浅田家では婦人の「血の道症」に用いて効果があったため,「女神散」という名にしたという逸話があるそうです.産後や更年期障害でみられる神経症や自律神経失調症で,のぼせやめまいを主訴とするときに用いるとされます.
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