From LABO
薬剤部と連携した分子標的治療薬の情報収集
井手 大輔
1
1近畿大学病院 輸血・細胞治療センター
pp.1082-1084
発行日 2024年10月15日
Published Date 2024/10/15
DOI https://doi.org/10.32118/mt52101082
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
多発性骨髄腫の治療に使用される分子標的治療薬として,抗CD38抗体が知られている.イサツキシマブやダラツムマブが代表的な薬剤である1,2).抗CD38抗体は骨髄腫細胞上に発現するCD38に結合し効果を発揮するが,正常な赤血球にも結合する.輸血検査は赤血球と抗体の結合を赤血球凝集で検出する原理が主であり,抗CD38抗体はこれらの輸血検査に影響を与えることが問題である.回避する方法として,検査に使用する赤血球を0.2M3)または0.01M4)DTTで処理し,赤血球上のCD38を変性・破壊する方法がある.ただ,抗CD38抗体の投与情報がない場合や気づかない場合がある.こうした場合は検査の反応から自己抗体や複数抗体を保有する可能性を考え,追加検査を実施することになるが,正しい結果を導くことができない危険性がある.投与情報を輸血部門で感知することは,輸血部門の重要な役割である.
Copyright © 2024 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.