MT Seminar―読んで、見て、深める臨床検査技師のための誌上講義
シリーズ 日常のなかの例外・トラブル対応 4.採血時トラブル対策
中村 和奏
1
,
小野 佳一
1
1東京大学医学部附属病院 検査部
pp.384-388
発行日 2024年4月15日
Published Date 2024/4/15
DOI https://doi.org/10.32118/mt52040384
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要点
☑検体凝固や溶血などの検体不良は検査結果へ影響を与えるが,その原因は不適切な採血手技によるものであることが多い.本来の患者の状態を反映した検査結果を報告するためにも,基本的な採血手技だけでなく,十分な血管の怒張が得られない,採血中に血液の流入が止まってしまった,などのトラブルへの対処法や採血のコツを理解しておくことは重要である.
☑採血は基本的には安全な手技だが,血管迷走神経反応や神経損傷,感染症,血腫,内出血など,さまざまな合併症のリスクを伴う.注意すべき穿刺部位や合併症発生時の対応を理解したうえで採血業務を行い,注意すべき穿刺部位や穿刺不可部位での採血を患者が希望する場合には,理由を説明し別の部位での採血を提案することもポイントである.
☑インシデントやトラブルを防ぐためには,診療科や他部門にも協力を依頼し,採血不可部位などの患者情報の提供や苦情・クレーム対応を依頼する.また,e-learningなどを活用することで,スタッフの採血手技の確認や検査前プロセスの品質管理向上を図る.
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