第1土曜特集 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)―― “共生” への道
臨床・感染対策
新型コロナウイルス感染症の臨床症状と診断
忽那 賢志
1
Satoshi KUTSUNA
1
1国立国際医療研究センター国際感染症センター
pp.32-35
発行日 2021年1月2日
Published Date 2021/1/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2760132
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臨床症状
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の潜伏期は14日以内であり,多くの症例が曝露からおおむね5日で発症する1,2).多くの有症状者で発熱,呼吸器症状(咳嗽,咽頭痛),頭痛,倦怠感などの症状がみられる.鼻汁や鼻閉の頻度は低いと考えられる2).下痢や嘔吐などの消化器症状の頻度は多くの報告で10%未満であり,重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)よりも少ないと考えられる.臨床症状はインフルエンザや感冒に似ているが,一部で嗅覚・味覚異常を訴える患者が存在する.10の研究を対象にしたメタアナリシスでは嗅覚障害,味覚障害の頻度はそれぞれ52%,44%であった3).
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