臨床経験
青年期転換性障害における歩行障害にリハビリテーション治療が奏功した一例
中積 智
1
,
八幡 徹太郎
,
中波 暁
,
山口 朋子
,
染矢 富士子
1金沢大学附属病院 リハビリテーション科
キーワード:
心理的ストレス
,
変換症
,
目標
,
リハビリテーション
,
自己効力感
,
歩行困難
,
自閉症スペクトラム障害
Keyword:
Conversion Disorder
,
Goals
,
Autism Spectrum Disorder
,
Rehabilitation
,
Stress, Psychological
,
Self Efficacy
,
Mobility Limitation
pp.921-925
発行日 2022年8月15日
Published Date 2022/8/15
DOI https://doi.org/10.32118/J02606.2022299186
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
15歳男性。1歳9ヵ月時に高機能自閉症と診断され小学校3年生まで言語発達遅滞に対する言語療法を行った。中学2年生時にバレーボール部活動中に下肢の痺れ・振戦が出現し、移動・入浴・排泄に介助が必要となった。ギランバレー症候群の診断で治療され歩行器歩行可能となったが下肢症状が進行し、高機能自閉症を基盤とした心因性歩行障害疑いでリハビリテーション科受診となった。初診時は器質的問題はなく、座位時の体幹の動揺、立位時の体幹や下肢の動揺、立ち直り反応不良を認め、U字型歩行器に前腕を完全に載せた歩容であった。転換性障害と判断して独歩を目標にリハビリテーション治療を開始し、約1年後に独歩での階段昇降が可能となった。経過中、心理検査にて言語発達、自己洞察の未熟さを指摘され、認知行動療法を行った。本例は青年期であり家族環境が良好であったために良好な改善を得られた。
Copyright© 2022 Ishiyaku Pub,Inc. All rights reserved.