Japanese
English
特集 ウイルス性皮膚疾患アップデート
統計
地域における小流行に伴って経験した水痘の32例
32 cases of varicella experienced with a small epidemic in the area
市ケ谷 友美
1
,
宮地 素子
1
,
今福 信一
1
,
安元 慎一郎
2
Tomomi Ichigatani
1
,
Motoko Miyachi
1
,
Shinichi Imafuku
1
,
Shinichiro Yasumoto
2
1福岡大学医学部皮膚科学教室
2安元ひふ科クリニック
1Department of Dermatology, Faculty of Medicine, Fukuoka University
2Yasumoto Dermatology Clinic
キーワード:
水痘
,
水痘ワクチン
,
break-through水痘
Keyword:
水痘
,
水痘ワクチン
,
break-through水痘
pp.276-279
発行日 2022年4月1日
Published Date 2022/4/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000002878
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
●水痘は水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の初感染による病像で,主として小児期に生じる急性熱性発疹症であり,ワクチンの2回接種が義務化された2014年以降は診療現場への受診頻度は大幅に低下している.
●福岡市の衛星都市で診療している皮膚科クリニックにおいて2019年11月~2020年5月の7カ月間に32例の水痘症例を経験した.そのうち1回以上のワクチン接種歴をもつものが27例と84%を占めていた.
●ワクチンを接種せずに水痘に罹患した既往があると考えられる保護者などの成人にはほとんど伝播していなかったことなどから,今回経験した小流行はワクチンによる免疫存在下に野生株に感染して生じたbreak through水痘であると考えた.
●現行の水痘ワクチンは有効で安全なワクチンであるが,水痘の完全排除が可能なまでの有効性がないことは近年の感染症サーベイランスの結果からも推測できる.また,ワクチン接種下でも水痘に罹患することがあれば,将来的に帯状疱疹が発症する可能性も否定できない.水痘ワクチンの普及が地域での水痘の発生と帯状疱疹の頻度に与える影響については今後も慎重かつ詳細な観察が必要と考えた.
(「ポイント」より)
Copyright © 2022, KYOWA KIKAKU Ltd. All rights reserved.