特集 小児期精巣関連疾患の診断と治療
ナットクラッカー症候群(左腎静脈捕捉症候群)
松野 大輔
1
,
馬場 晴喜
1
,
本間 澄恵
1
Daisuke Matsuno
1
,
Haruki Baba
1
,
Sumie Homma
1
1千葉県こども病院泌尿器科
pp.985-989
発行日 2023年9月25日
Published Date 2023/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000580
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はじめに
ナットクラッカー症候群(nutcracker syndrome:NCS)は腎静脈捕捉症候群(renal vein entrapment syndrome)とも呼ばれ,腎静脈の解剖学的な特徴を主因とした症候群である。症状は多岐にわたり,内科的には左腰背部・側腹部の疼痛や非糸球体性血尿の原因となる。また婦人科的には,近年骨盤部痛や卵巣機能不全との関わりが示唆される骨盤内うっ血症候群と,泌尿器科・小児外科的には左精索静脈瘤との関連が深い重要な鑑別疾患である。成人のNCSに関しては多数のシステマティックレビューをはじめ,エビデンスが蓄積されつつある1)が,小児のNCSは文献的な報告がいまだ少なく,きわめて限られた数のretrospective chart study2)やシステマティックレビュー3)のなかでその特徴や診断・治療のアルゴリズムが主張されているにすぎない。
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