特集 小児の渡航医学
各論
基礎疾患をもつ子どもたちとの渡航
免疫疾患をもつ子ども
多田 歩未
1
,
井上 健斗
2
,
金兼 弘和
3
TADA Ayumi
1
,
INOUE Kento
2
,
KANEGANE Hirokazu
3
1千葉大学真菌医学研究センター感染制御分野
2国立国際医療研究センター病院国際感染症センター
3東京医科歯科大学小児地域成育医療学講座
pp.1008-1012
発行日 2024年6月1日
Published Date 2024/6/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001733
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はじめに
免疫疾患をもつ子どもの渡航者には,先天性免疫異常症(inborn errors of immunity:IEI),悪性腫瘍の化学療法後や移植後,リウマチ性疾患や自己免疫疾患のため免疫抑制療法中,無脾症・脾臓摘出後などの背景が想定される。これらの患者の場合,免疫能の状態,投薬状況によって渡航前の準備はより複雑になるため,出発の少なくとも数か月前,可能なら半年以上前には相談するよう指導しておく1)。目的地によってはワクチンの追加接種や予防的抗微生物薬などの医薬品の検討,現地の医療機関などの情報入手に時間を要する可能性があり,また免疫疾患の専門家やトラベルクリニックへの紹介を検討する必要も出てくる。その患者固有の健康上の懸念,渡航スケジュール,計画しているアクティビティについて話し合う時間をもつことで,より具体的な推奨事項を提供することもできる2)。これらの慎重な対応を要するため,渡航先でのリスクとその対応について医療者もよく理解しておく必要がある。
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