特集 成人患者における小児期発症慢性疾患
各専門領域における小児期発症慢性疾患の成人移行支援の取り組みの現状
心身症
石﨑 優子
1
ISHIZAKI Yuko
1
1関西医科大学総合医療センター小児科
pp.1509-1510
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000383
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はじめに
心身症とは日本心身医学会の定義では「身体疾患の中で,その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し,器質的ないし機能的障害が認められる状態をいう。ただし,神経症やうつ病など,他の精神障害に伴う身体症状は除外する」とされる1)。また日本小児心身医学会による「子どもの心身症」の定義は「子どもの身体症状を示す病態のうち,その発症や経過に心理社会的要因が関与するすべてのものをいう。それには,発達,行動上の問題や精神症状を伴うこともある」としている2)。心身症が心の問題が関与する身体症状であるならば,全身にわたり,小児期も成人期もさまざまな様相を呈することになり,疾患を絞るのは難しい。また小児の心身症の多くは,心身の成長が著しい思春期の一過性の自律神経の不調が関与しており,成長が一段落し,患者が自らの症状と付き合えるようになって安定し,患者なりのあり方で社会に参加できるようになれば,もはや医療を必要としない。そういった意味では,本特集「成人患者における小児期発症慢性疾患」の他領域の疾患とは,趣の変わったものになるであろう。しかし,現在日本小児心身医学会でも移行期支援委員会が発足し,活動を開始しているので,その活動について紹介したい。
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