特集 おさえておきたい! 胎児・新生児の超音波検査
新生児の超音波検査:腹部(腸と肝臓)
エコーで診断可能な腸疾患(腸回転異常・中腸軸捻転など)
菅沼 広樹
1
SUGANUMA Hiroki
1
1順天堂大学小児科
pp.1279-1283
発行日 2025年10月10日
Published Date 2025/10/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002333
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
1.新生児の腸の超音波検査の利点と重要性
ポイントオブケア超音波(point of care ultrasound:POCUS)の最大の利点は,非侵襲的かつ放射線被曝がなく,ベッドサイドで繰り返し実施可能である点にある。これにより,病態の変化をリアルタイムで捉え,治療方針の即時決定に貢献できる。壊死性腸炎(necrotizing enterocolitis:NEC)や中腸軸捻転など,腸管壊死や短腸症候群につながる重篤な疾患の早期発見に有効であり,予後改善に直結する。また,腹部X線や造影検査の補助としてだけでなく,初期スクリーニングとしても有用性が高い。一方で,POCUSには課題もあり,検者の技量に強く依存するため,十分なトレーニングと経験が必須である。さらに,標準化された撮像プロトコルや評価基準の整備が求められる。陰性所見のみで疾患を完全に否定することはできず,最終診断にはX線や造影検査との併用が推奨される。

© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.

