増刊号 周産期診療のための病態生理
[新生児編]
代謝・内分泌
早産低出生体重児はどのような機序でインスリン抵抗性と関係するのか
有阪 治
1,2
,
中山 幸量
2
,
市川 剛
1
,
小山 さとみ
2
ARISAKA Osamu
1,2
,
NAKAYAMA Koryo
2
,
ICHIKAWA Go
1
,
KOYAMA Satomi
2
1宇都宮脳脊髄センターシンフォニー病院小児科
2獨協医科大学小児科
キーワード:
インスリン抵抗性
,
早産児
,
低出生体重児
,
胎児発育不全(FGR)
,
エピジェネティクス
Keyword:
インスリン抵抗性
,
早産児
,
低出生体重児
,
胎児発育不全(FGR)
,
エピジェネティクス
pp.563-565
発行日 2023年12月28日
Published Date 2023/12/28
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001370
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インスリン抵抗性
インスリン抵抗性とは,インスリンに対する感受性が低下してインスリン作用が十分に発揮されず,代償性に高インスリン血症が出現した状態である。胎児発育不全(fetal growth restriction:FGR)を伴う正期産低出生体重児は,子宮内でインスリン抵抗性が形成されることにより,将来肥満にならなくてもメタボリックシンドローム(MS)や2型糖尿病のリスクが上昇することが知られている。さらに,周産期医療の進歩によって早産児の生命予後が向上した結果,超低出生体重児や超早産児をはじめとする未熟性の強い早産低出生体重児も,子宮内でインスリン抵抗性を形成することが明らかになってきた。最近のメタアナリシスにより,早産児がMSや2型糖尿病を発症するリスクは,FGRやSGA(small for gestational age)であることとは独立したものと考えられている1,2)。
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