連載 わたしの研究歴
鼻汁の研究で得たもの
間島 雄一
1,2
Yuichi Majima
1,2
1倉本内科病院
2三重大学名誉教授
キーワード:
鼻汁
,
粘液
,
慢性副鼻腔炎
,
研究
Keyword:
鼻汁
,
粘液
,
慢性副鼻腔炎
,
研究
pp.665-668
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000620
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
鼻汁研究との出会い
私が鼻汁に興味を持ったのは,私の上司であり,良き指導者であった故坂倉康夫名誉教授のお陰である。ちょうど私が三重大学耳鼻咽喉科学教室(三重大耳鼻科)に入局した1972年に,坂倉先生はアメリカ留学から,戻ってこられた。坂倉先生の研究グループの一員となった私は,坂倉先生の研究を手伝うことで,いろいろなことを学ぶことができた。例えば,坂倉先生は正常人鼻汁のIgA濃度を測定するために,正常成人に,寒中に熱いラーメンを食わせ,流れ出る鼻水を採取された。もちろん,私も鼻汁の採取や採取した鼻汁のIgAの測定を手伝った。これがきっかけで,私は慢性副鼻腔炎鼻汁の免疫グロブリン分布と分泌型IgAに結合していないfree secretory componentの分離,測定を行い三重大学で博士号を授与された。この頃には “鼻汁” や “粘液” という言葉を耳にする,または目にすると,即座に反応できる状態になっていた。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.