第37回 日本ハイパフォーマンス・メンブレン研究会 【基礎研究】
リコンビナントα1ミクログロブリン試薬の開発
春原 隆司
1
,
山口 悟
1
,
戸部 隆太
2
,
木村 隆
2
,
増田 利明
3
1ニプロ株式会社企画開発技術事業部国内商品開発・技術営業本部
2ニプロ株式会社企画開発技術事業部酵素センター
3ニプロ株式会社企画開発技術事業部
pp.141-144
発行日 2023年1月25日
Published Date 2023/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000598
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はじめに
α1ミクログロブリン(α1-MG)は,分子量33,000程度の低分子量蛋白で,腎不全になると血清濃度が高くなることがわかっているが,その役割は不明な点が多い。α1-MGは分子量が11,800のβ2ミクログロブリンと分子量が66,000のアルブミンの中間であることから,主に透析関連の分野では除去効率のターゲット物質として認識されている。しかしながら,近年はα1-MG自体を除去することによる臨床症状の改善報告1)や,強い抗酸化作用があること,血漿中でのIgAとの結合比率が健常者と透析患者で異なることなどの新たな特性が次第に明らかとなり,除去ターゲットとしての意義が次第に変わりつつある2,3)。近年,中分子量蛋白が着目されてきており,2021年に尿毒素物質の定義が再度見直され,中分子量蛋白が3つに区分されたが,α1-MGは尿毒素物質に追加されなかった4)。一方で,現在改訂作業中のISO8637-1の中で,ダイアライザの中分子量物質の透過性能評価マーカーの追加が議論されており,その1つとして日本からα1-MGを提案し,現在改訂作業が継続されている。
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