連載
症例をどうみるか 傍腫瘍性神経症候群によるめまい症例
山田 大貴
1
,
大嶋 吾郎
,
泉 智沙子
,
細川 誠二
,
峯田 周幸
1浜松医科大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
キーワード:
胃腫瘍
,
運動失調症-小脳性
,
眼振
,
めまい
,
MRI
,
自己抗体
,
腺癌
,
X線CT
,
純音聴力検査
,
腫瘍随伴症候群-神経系
,
指鼻試験
,
Ma2抗原
,
POR Protein
Keyword:
Audiometry, Pure-Tone
,
Vertigo
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Stomach Neoplasms
,
Cerebellar Ataxia
,
Adenocarcinoma
,
Nystagmus, Pathologic
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Autoantibodies
,
POR Protein, Human
,
Paraneoplastic Syndromes, Nervous System
,
Ma2 Antigen
pp.1329-1332
発行日 2020年9月1日
Published Date 2020/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/J01814.2021010164
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症例は84歳女性で、上下に動くようなめまいを自覚し、徐々に症状が増悪した。朝の起立時、めまい症状の増悪があり、後方へ転倒した。複数の脳神経外科、耳鼻咽喉科を受診したが改善に乏しく、当科受診となった。回内・回外試験、指鼻試験は左右とも稚拙であり、体幹失調も認めた。MRI FLAIRで両側大脳半球白質に慢性虚血性病変を疑う高信号域の多発を認めたが、頭部CT、MRIにおいてその他の器質的病変は指摘できなかった。髄液検査では髄液中のIgG indexの上昇があり、パラネオパネルで抗Ma-2抗体のみ陽性であり、抗Ma-2抗体陽性の傍腫瘍神経症候群と診断した。また、CTにて胃大彎に壁肥厚があり、上部消化管内視鏡検査などの精査の結果、胃癌と診断した。全身麻酔下で腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行し、最終病理結果はpor2-sig成分を主体とした腺癌、pT2、pN3a、stage IIIであった。その後、免疫グロブリン投与を行ったが、眼振やめまいの自覚症状に著変がないまま転院となった。
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