連載
症例をどうみるか 診断と治療に難渋した喉頭サルコイドーシス疑診群の1例
杉本 裕彦
1
,
山内 彰人
,
田山 二朗
,
高野 智誠
,
菊地 茂
1埼玉医科大学総合医療センター 耳鼻咽喉科
キーワード:
Methylprednisolone
,
気管切開術
,
病的狭窄
,
声門
,
X線CT
,
サルコイドーシス-喉頭
,
声門開大術
Keyword:
Tracheotomy
,
Methylprednisolone
,
Glottis
,
Constriction, Pathologic
,
Tomography, X-Ray Computed
pp.115-118
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.24479/J01814.2019098561
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49歳男。喘鳴を主訴に近医にて重症の気管支喘息と診断され、ステロイド治療を受けていたが改善せず、当院紹介受診となった。咽頭内視鏡検査で、右仮声帯から声門下に浮腫性腫脹と右声帯の開大制限を認めた。CTでは、右声門部に17mm大の内部均一で造影効果を伴う腫瘤を認め、両肺に多発性の結節影を認めた。以上の所見より咽頭腫瘤が疑われ、二度の咽頭微細手術を行い咽頭病変を切除し病理検査が行われたが、検査結果は二度とも慢性咽頭炎の診断であった。検査中に、肺病変の増大、頸部リンパ節腫脹、視力障害が出現したことから、サルコイドーシスを疑い、全身検査を行ったが、確定診断に至らなかった。追加で十分な組織を採取できる部位がないことやサルコイドーシスであれば一元的に病態が説明可能であることから、サルコイドーシスの疑診群とみなし、診断的治療としてサルコイドーシスの投与を開始した。メドロール投与開始後、咽頭病変と肺病変は徐々に縮小したが、消失には至らず、右声帯麻痺および声門部狭窄は残存した。患者の希望より右声門開大術を施行し、術後は、気管孔は開存状態にあり、気管孔にレティナを挿入し、ステロイド治療を継続中である。
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