症例
水中毒後の多尿による急激な血清ナトリウム上昇に対して血液透析を施行し血清ナトリウムを管理した1例
上松瀬 良
1
,
池田 紘幸
,
谷口 智基
,
山本 耕治郎
,
矢内 佑子
,
富田 真弓
,
鎌田 正
,
家原 典之
1京都市立病院 腎臓内科
キーワード:
Deamino Arginine Vasopressin
,
血液透析
,
高ナトリウム血症
,
統合失調症
,
多尿
,
水中毒
Keyword:
Hypernatremia
,
Renal Dialysis
,
Polyuria
,
Deamino Arginine Vasopressin
,
Schizophrenia
,
Water Intoxication
pp.699-702
発行日 2020年5月25日
Published Date 2020/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/J00714.2020305539
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症例は58歳女性で、統合失調症、心室中隔欠損症、気管支喘息、2型糖尿病、脂質異常症の既往歴があった。入院1ヵ月前頃より1日に3L以上飲水し、夜間の呼吸苦が出現するようになった。その後も飲水量は漸増し、呼吸苦を主訴に救急搬送された。血清ナトリウム(Na)122mEq/Lと低値であり、水中毒を契機とした心不全の診断で入院した。入院後24時間で血清Na 148mEq/L、血清浸透圧308mOsm/Lと急上昇しており、浸透圧性脱髄症候群(ODS)の発症が危惧された。すぐに5%ブドウ糖液を400mL/時で輸液開始し、酢酸デスモプレシン5μgを点鼻した。心不全のためブドウ糖液投与による血清Naの是正は困難と判断し、輸液速度を50ml/時へ緩め、Na 130mEq/Lの透析液を用いて3時間の血液透析を施行した。その後、血清Naを138mEq/Lから144mEq/Lの範囲で管理し、ODSを示唆する神経学的徴候は出現しなかった。体重も漸減し、第8病日に55.6kgとなり酸素投与を終了し、第15病日に退院となった。
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