特集 周産期相談310 お母さんへの回答マニュアル 第3版
新生児・乳児編 栄養、排泄など 新生児期 便がゆるかったり、よく見ると少し赤い血がついているのですが?
白石 淳
1
1大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター 小児科
キーワード:
過敏症-牛乳
,
下血
,
下痢
,
新生児疾患
,
腸炎
Keyword:
Melena
,
Infant, Newborn, Diseases
,
Diarrhea
,
Milk Hypersensitivity
,
Enterocolitis
pp.590-592
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.24479/J00621.2020088479
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<回答のポイント>1)新生児期の便はゆるい(水様~泥状)ことが多く、便性からだけで下痢とは判断しない。普段の便性・便回数との違いや、児の症状をみる。2)ミルクアレルギー(新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症)や乳糖不耐症などもあり得る。3)血便がみられたときは、血液の量と血液の色、それから便に混じっているのか付着しているだけなのか、粘液が含まれているのかなどをみる。4)上部消化管より以遠(肛門から)での血液混入があれば、真っ黒~黒赤色のどろっとした便(タール便)になり、小腸~大腸での出血は暗赤色便となる。大腸からの出血(アレルギーや感染性腸炎)では粘血便がみられ、直腸肛門付近の出血では便に付着した鮮血となる。5)ミルクアレルギー(新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症)、新生児一過性好酸球性腸炎(neonatal transient eosinophilic colitis:NTEC)、細菌性腸炎などでも血便はみられる。6)腸回転異常症、新生児壊死性腸炎などの外科的疾患でも血便がみられるが、これらの疾患は症状進行も早く、全身状態の悪化を伴う救急対応が必要な疾患である。また、腸重積は新生児期での報告もあり念頭においておくべく要救急対応疾患である。7)いつもと違った便がみられたら、便の性状に加えて、機嫌、活気、哺乳の様子、嘔吐の有無、発熱の有無など、いつもと違う症状を伴っているかに注意するよう伝え、機嫌や活気や哺乳の不良を伴うときには受診するよう勧める。また受診する際には、便のついたオムツを持参するか写真を撮っておいてもらう。
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