特集 周産期相談310 お母さんへの回答マニュアル 第3版
新生児・乳児編 胸部、腹部など 新生児期 胸に耳をあてて聞いたら、心拍数が多い(少ない)ようですが?
日根 幸太郎
1
,
与田 仁志
1東邦大学医療センター大森病院 新生児科
キーワード:
徐脈
,
新生児疾患
,
心拍数
,
頻拍
Keyword:
Bradycardia
,
Heart Rate
,
Infant, Newborn, Diseases
,
Tachycardia
pp.432-433
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.24479/J00621.2020088409
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<回答のポイント>1)新生児の心拍数の正常値は70~190bpmである。実際は心拍数120~140bpmの新生児がほとんどである。睡眠中は70~90bpmまで低下したり、啼泣や環境温度の上昇などにより170~190bpmまで増加する。2)環境温度とそれに伴う体温の変化は、新生児の心拍数に明確に現れる。病的な心疾患や頻脈性不整脈がないにもかかわらず、心拍数200bpmにも及ぶ頻脈がある場合、新生児の体温上昇が原因であることはよく経験する。特に、高体温に啼泣が加わると著明な頻脈となり得る。3)正常新生児の不整脈の発生頻度は1%以下とされ、そのほとんどは数日以内に自然消失する良性な不整脈(期外収縮など)であるとの報告がある。しかし、持続すると容易に心不全に陥る上室性頻拍などもある。4)新生児期を過ぎると不整脈の頻度は減少する一方で、先天性心疾患や心筋症など、重篤な基礎疾患を合併する場合も少数ながら存在することは念頭におくべきで、鑑別を要する。
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