連載 血液今昔物語 血液病-原典・現点
第36回 日本には稀なRichter症候群
吉田彌太郎
1
Yataro Yoshida
1
1医仁会 武田総合病院 顧問
pp.1312-1316
発行日 2016年8月30日
Published Date 2016/8/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201609112
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原典 Maurice N. Richter:Generalized reticular cell sarcoma with lymph nodes associated with lymphatic leukemia. Am J Pathol 4:285-292, 1928. 要旨 7週間にわたる左頸部リンパ節腫大と体重減少でBellevue病院へ入院した45歳男性。肋弓下10 cmの脾腫と臍高に達する肝腫大,腋窩・鎖骨上・鼡頸部などの多発性リンパ節腫大もあり,RBC 370万,WBC 98,400,リンパ球90%であった。入院3週間後に死亡。剖検にて,肝脾腫,汎発性リンパ節腫大があり,骨髄はリンパ球で充満していた。リンパ組織には小リンパ球のほかに塩基性の豊富な細胞質と繊細な格網をもつ大型細胞が多く,Richterはendothelioid cellと呼んだ。慢性リンパ性白血病(chronic lymphocytic leukemia:CLL)の先行が疑われた上に,細網内皮組織由来と思われる大型細胞の急激な悪性増殖であろうと考えた。