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近年,神経科学領域においてグリア研究が着目されている。これまで神経科学において脇役であったグリア細胞が着目されたのは光学技術の発達によるところが大きい。 グリア細胞はギリシャ語のglueを起源とする,電気的にあまり活動しない細胞であるため,その名の通り神経細胞を支持する細胞と考えられてきた。さらに病態において大きく形態が変化することから,疾患におけるグリア細胞の機能に着目された研究が行われてきた。しかしながら,グリア細胞が原因となって起こる疾患はあまり知られていないことなどから,その生理学的機能についても未知な部分が多い。グリア細胞が脳機能に本当に必須なのか? 近年の発達した光学技術,特に2光子顕微鏡を用いてマウスの脳内を生きたまま可視化することが可能となり,この問いに対する答えが徐々に出てきた。2光子顕微鏡はフェムト秒パルスレーザーを光源とし,蛍光物質を局所で励起することが可能であるため,生体の深部を低侵襲で観察することが可能である。さらに細胞特異的に蛍光タンパク質を発現させることが可能であるようなCre-loxPシステム,テトラサイクリン発現システムなどを用いて,細胞種を同定した上でその機能,構造を可視化することが可能となった。このようなシステムによって得られたマウスを2光子顕微鏡下で観察することによって,生理的な状態で中枢神経系の構造・機能を観察することが可能となった。これによりグリア細胞の研究は飛躍的に進んだ。
Glial cells originate the Greek word‘glue’had traditionally been only thought as supporting cells for neurons. Because glial cells are electrically non-excitable, neuroscience researchers have focused on elucidation of excitable cell properties, neuron. Recent advanced optical methods lead us to observe glial structure, motility and their function in normal physiological conditions. These approaches let us to know that they are not just the supporting cells for neuron but could receive signal from neurons through receptors for neurotransmitters and to regulate neuronal functions, thus modulating behavior phenotype. Such studies also suggest that glial cells are highly dynamic and actively maintain brain homeostasis. Here, we review physiological function of glial cells through a new perspective clarified by innovations of imaging technology including two-photon microscope.