特集 がん患者のこころを救え ~サイコオンコロジーの最前線~
8.認知症を併存した高齢がん患者のこころのケア
谷向仁
1
1京都大学大学院医学研究科臨床腫瘍薬理学・緩和医療学講座・特定准教授/ 京都大学医学部附属病院緩和ケアセンター/緩和医療科・副診療科長
pp.2705-2709
発行日 2016年12月1日
Published Date 2016/12/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201612105
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認知症を併存する高齢がん患者は,今後ますます増えていくことが予想されている。認知症の併存者は非併存者と比べて,症状評価やコミュニケーションが困難であり,医療的にさまざまな負の影響があると報告されている。
認知症を併存するがん患者を支えるためには,まず認知症の存在に気づき,その人が体験している苦悩をしっかりと理解し,自尊心に配慮して接することが大切である。そして,認知症の症状によって生じるさまざまな支障について,脳機能の側面からも理解を深める必要がある。その上で適切なケアプランを立案し,必要に応じて修正を繰り返しケアに活かすことが,認知症を併存するがん患者との信頼関係を構築し,こころのケアにつながっていくものと思われる。