発行日 2014年3月20日
Published Date 2014/3/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2014161255
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62歳男。夜間の発熱を主訴とした。他院3ヶ所を受診して血液検査にて肝機能検査値の軽度上昇、血沈の異常亢進、CRPと胆道系酵素の上昇などを指摘されたが、腹部超音波、腹部CT、腹部MRCPで明らかな異常はなかった。軽度の肝障害が持続したため、発症約2ヵ月後に肝生検目的に入院した。入院時、ALPアイソザイムは1型を認めず、ANA、AMA、梅毒検査は陰性、甲状腺刺激ホルモンは異常低値であった。肝生検は非特異的で肝障害の回復期の所見であった。甲状腺超音波検査、123I取り込み試験での取り込みの著明な低下、抗サイログロブリン抗体陽性より破壊性甲状腺炎(無痛性甲状腺炎)と考えられた。以上より、症例は無痛性甲状腺炎で、他院を受診した時は甲状腺中毒症で、検査入院時は沈静化傾向で潜在性の甲状腺機能亢進症に移行したと推察した。その後、外来受診時は甲状腺機能低下症の傾向であった。
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