特集 ウイルス肝炎制御時代の肝発癌
2.HCV駆除後の肝発癌における課題(2)HCV駆除後発癌の基礎的考察 ―形態とゲノムからの考察
相崎 英樹
1
,
青柳 東代
1
,
杉山 真也
2
,
村松 正道
1
,
溝上 雅史
2
,
脇田 隆字
1
1国立感染症研究所・ウイルス第二部
2国立国際医療研究センター
キーワード:
直接作用型抗ウイルス薬
,
C型肝炎ウイルスRNA持続陰性化
,
肝細胞癌
,
C型慢性肝炎
,
活性酸素種
Keyword:
直接作用型抗ウイルス薬
,
C型肝炎ウイルスRNA持続陰性化
,
肝細胞癌
,
C型慢性肝炎
,
活性酸素種
pp.914-919
発行日 2022年7月20日
Published Date 2022/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002270
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HCVによる発癌の原因として,慢性炎症,線維化,脂肪性肝炎,酸化・ERストレス,ウイルスタンパクによる発癌関連シグナル伝達経路の異常などが報告されている.SVR後の病態,発癌メカニズムの理解のために,SVR患者についてオルガネラレベル,遺伝子レベルで観察,解析を行った.電顕病理学的解析の結果,HCV排除後も細胞周囲線維化,微小脈管系の異常などにより,酸化・ERストレスを生じている可能性が考えられた.さらに,遺伝子発現解析の結果,HCV排除後もエピジェネティックな修飾などにより発癌関連シグナル伝達系の異常が残存しているものと考えられた.肝発癌の初期を捉えるために,SVR後も個々の患者の病態に応じたフォローアップが必要である.
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