特集 急性腎障害の最新トレンド
5.肝腎症候群の新たな展開
中村 成よし
1
,
本間 康一郎
1
1慶應義塾大学医学部救急医学
キーワード:
肝腎症候群
,
肝硬変性心筋症
,
経頸静脈肝内門脈大循環短絡術
Keyword:
肝腎症候群
,
肝硬変性心筋症
,
経頸静脈肝内門脈大循環短絡術
pp.381-387
発行日 2024年4月10日
Published Date 2024/4/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000002946
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肝硬変など進行した肝不全状態に急激な腎機能障害をきたす肝腎症候群(HRS)の診断基準が最近10年間で変化している.2007年のHRS診断基準には血清クレアチニン値が1.5 mg/dLを超えることが含まれていたが,2019年のHRS診断基準にはKDIGOガイドラインに従って,尿量やベースラインからの血清クレアチニン値の変化など急性腎障害(AKI)の診断基準を考慮し作成されている.治療としては血管収縮薬としてのテルリプレシンやノルアドレナリンが日本では採用されている.根本治療として肝移植があるが,腎機能障害の期間が長いほど,移植後の腎機能改善が乏しい.HRS-AKIの治療の奏効が鍵を握るとともに,HRS-CKDの治療に乏しく,今後の治療選択が望まれる.
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