特集 もっと知ろう透析患者の栄養と身体評価
4.カリウム代謝の評価
松田 拓也
1
,
谷澤 雅彦
1
1聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科
キーワード:
カリウム
,
高カリウム血症
,
低カリウム血症
,
食事療法
,
透析療法
Keyword:
カリウム
,
高カリウム血症
,
低カリウム血症
,
食事療法
,
透析療法
pp.379-386
発行日 2023年4月10日
Published Date 2023/4/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000002516
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
摂取されたカリウムの90%は腎臓から排泄され,また細胞内外のシフトなどにより体内の恒常性が維持されるが,保存期CKD患者や透析患者は腎機能が低下しており,糖尿病や代謝性アシドーシスなどにより細胞外へカリウムがシフトしやすく,高カリウム血症に傾くのは容易に想像できる.一方で,ある一定頻度の割合で低カリウム血症の発症も認める.電解質異常全般にいえることだが,血清カリウム値と総死亡や好ましくないアウトカム(カリウムの場合は心血管疾患発症)との間にはU shapeの関係があるために注意が必要であるが,多くは観察研究から得られた結果であり,関連はあるが因果関係はわかっていない.昨今では,カリウム摂取と血清カリウム値が必ずしも相関しないこともわかっており,一律に食事でのカリウム制限を行うことは不適切であり,摂取以外の原因検索とその対応,カリウム吸着薬の適切な使用,そして患者個々へカリウム摂取制限の対応が必要である.
Copyright © 2023, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.