1．心疾患の生理機能検査

透析患者は心血管系疾患の合併リスクが高い集団である．とくに血液透析患者では心臓に負担がかかりやすい．また，高齢化が進んでいるため，症状に乏しく心疾患発見が遅れることも多い．そういった背景を克服するための非侵襲的な検査によるスクリーニング，たとえば一般的な心電図，心臓超音波検査に適切な負荷を加えて不整脈や心筋虚血を早期発見することは重要である．ただし透析患者は背景が多様であり，その基準値の設定が困難な検査がある．とくに血液透析患者は体内水分量の変動が著明であり，その検査日をもとに検査結果を解釈する必要がある．ほか，下肢末梢動脈疾患指導管理加算に関わる足関節上腕血圧比（ABI），皮膚組織灌流圧（SPP）をおもに取り上げる．