特集 ここは見逃すな! 症候からアプローチする母体合併症
8.下腿浮腫
-―HDP・VTE・周産期心筋症―
杉村 基
1
M. Sugimura
1
1浜松医科大学産婦人科家庭医療学講座
pp.1115-1120
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000594
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妊婦下腿浮腫は産科外来で比較的よく遭遇する症候の1つである。妊娠後期にみられる妊娠浮腫の緊急性は乏しい。しかしながら,浮腫の病態背景は多様であり,鑑別診断を行うにあたり常に全身疾患の初発症状である可能性を考慮して,系統立てて診断していく必要がある。特に周産期における下腿浮腫は,妊娠高血圧症候群(HDP),深部静脈血栓/肺血栓塞栓症(VTE),周産期心筋症(PPCM)といった周産期救急疾患の病態と関連する初発症状の1つである場合がある。こうした疾患は短時間に重症化していくと考えるべきで,母体のみならず胎児の予後とも関連しうるため,的確に対応する必要がある。循環器内科,血管外科,新生児科,集中治療部など他科他部門と連携した集学的治療が重要となる。
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