特集 子どものコモンな微徴候・微症状
整形外科
39.軽度の漏斗胸
古橋 七海
1
,
山口 隆介
1
,
末吉 亮
1
,
世川 修
1
1東京女子医科大学小児外科
キーワード:
漏斗胸
,
手術時期
,
漏斗胸体操
,
vacuum bell療法
,
Nuss法
Keyword:
漏斗胸
,
手術時期
,
漏斗胸体操
,
vacuum bell療法
,
Nuss法
pp.1191-1196
発行日 2021年9月20日
Published Date 2021/9/20
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001901
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漏斗胸とは,前胸部が陥凹している胸郭変形である.胸郭変形とは胸郭の形態異常であり,その原因は解明されていないが,肋軟骨の発達障害が要因と考えられている.前胸壁が陥凹したものを漏斗胸,逆に突出したものを鳩胸というが,漏斗胸の発生頻度は800名に1名と比較的頻度の高い疾患であり,鳩胸はそれより少ない.男女比は3対1で男児に多い1).漏斗胸を合併する疾患として,心臓手術や開胸手術(先天性食道閉鎖症,先天性横隔膜ヘルニア,先天性肺気道奇形など)後,神経筋疾患,Marfan症候群やPoland症候群といった先天異常疾患などがある.家族歴があることも多く,遺伝的要因が発症に関与しているとも考えられているが,詳細は不明である.漏斗胸はそれ自体で生命予後に大きな影響を与えることはまれであるが,胸部陥凹の程度によっては胸部症状(前胸部痛,息苦しさ,動機,息切れなど),呼吸・循環障害を認めることは広く知られている.治療が必要になる漏斗胸は,前述のように胸部症状や呼吸・循環障害をきたしている場合や,前胸部の陥凹により整容的に問題を抱えている場合などである.実際は,呼吸・循環障害を認めることはまれであり,手術適応の多くは整容性の改善を目的としている.
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