特集 小児 一次救急マニュアル─帰宅可能か?二次救急か?判断のための手引き─
❸一次救急でみられる主な疾患
8.腎・泌尿器領域
金森 透
1
,
長谷川 雄一
2
,
石倉 健司
1
1国立成育医療研究センター腎臓・リウマチ・膠原病科
2国立成育医療研究センター泌尿器科
キーワード:
尿路感染症
,
精巣捻転
,
嵌頓包茎
Keyword:
尿路感染症
,
精巣捻転
,
嵌頓包茎
pp.742-747
発行日 2019年4月30日
Published Date 2019/4/30
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000000880
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一次救急において頻度が高く早期介入が必要な疾患のうち,尿路感染症(Urinary Tract Infection:UTI)および泌尿器/生殖器緊急症について概説する.UTIは小児期に頻度の高い疾患群であり,乳児期には高率で菌血症を合併する.特異的な身体所見に乏しい場合も多く,リスクの高い児を判断し尿培養検査の提出が必要になる.また尿培養に加えてKOVA slideによる膿尿の検出なども有力である.UTIと診断した場合,乳幼児期は入院・経静脈的抗菌薬治療が必要だが,年長児で全身状態良好の場合は外来内服抗菌薬加療も可能である.加えて腎尿路異常などの背景疾患の検査が重要である.精巣捻転は陰嚢腫大・疼痛を主症状とし,精巣挙筋腱反射の消失や超音波検査などが診断に有用である.精巣捻転は速やかな治療介入が必要であり,疑った時点で早期に専門医に紹介し,Golden time(6~12時間)内に専門医を受診する必要がある.嵌頓包茎は診断した場合は速やかに用手的還納を行い,適宜専門医にフォローアップを行う必要がある.
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