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放射線治療談話会記録 日本がん・生殖医学会 共催 放射線治療談話会 がん治療と妊娠:放射線治療を受ける前に知っておきたいこと
片野 厚人
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1東京大学医学部附属病院 放射線科
キーワード:
放射線治療
,
がん治療
,
妊娠期
,
妊孕性
Keyword:
放射線治療
,
がん治療
,
妊娠期
,
妊孕性
pp.635-640
発行日 2025年7月10日
Published Date 2025/7/10
DOI https://doi.org/10.18888/rp.0000002938
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がんは,現在,日本人の2人に1人が生涯のうちに経験するとされる疾患である。妊娠・出産を希望する若年層においても,がんに罹患するケースは決してまれではなくなってきている。特に15~39歳のAYA(adolescent and young adult)世代では,年間2万人以上が新たにがんと診断されている。近年の医療の進歩により,小児や若年成人においてもがんが治癒可能あるいは長期生存可能となる例が増加しており,がん治療後のライフステージ,すなわち結婚・妊娠・出産・育児といった人生の大きな選択に与える影響が,社会的にも重要な課題となりつつある。若年者に多いがん,例えば乳癌や子宮頸癌は,20代から30代にかけて罹患率が急峻に上昇する。一方で,出産年齢は年々上昇しており,2023年における母親の平均出産年齢は,第1子で31.0歳,第2子で33.0歳,第3子で34.2歳となっている。こうした晩産化の傾向は,がんの好発年齢との重なりを生じさせ,妊娠とがん治療が同時に課題となる事例が少なくない。

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