憧鉄雑感
第126回 高額療養費制度
安部 正敏
1
Masatoshi ABE
1
1医療法人社団 廣仁会 札幌皮膚科クリニック
pp.1737-1737
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000003549
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分子標的薬は従来の難治性皮膚疾患に希望の光を与えた,と同時に患者医療費負担を格段に増大させた。薬剤は開発に莫大な費用を要するので,高価となるのは当然であるが,その負担を軽減するのが高額療養費制度である。診療では本制度に加え付加給付など,患者に応じて説明せねばならず,まるで税務署職員の如きである。しかし,税務署の如く高圧的な態度をとる訳にもいかぬ。また,時に「皮膚病でこんなに困っているのに,国は何もしてくれないんですか!」などと興奮する患者も出現する。こちらは官僚でも政治家でもなく,だったら “高額医療から国民を守る党” なんぞを立ち上げ,自ら党首として「医療制度をぶっこわ~す!」などと活動すれば,目の前の患者は嬉々として1票投票する筈である。しかし,うっかりテレビなんぞに出て池上彰氏にコテンパンにやられるのもカッコ悪いため,せいぜい高額療養費制度のパンフレットを渡す程度である。本制度では多数該当という制度があり,治療を繰り返していると安くなるという有難い制度で多くの患者が恩恵を受けている。
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