連載 ~知っているようで,実は十分に理解していない~ 医療に関する制度のあれこれ
第7回 高額療養費制度
江頭 彩
1
,
松本 美樹
1
,
木村 晋也
2
1佐賀大学医学部附属病院 メディカルサポートセンター
2佐賀大学医学部 血液・呼吸器・腫瘍内科
pp.915-919
発行日 2021年10月1日
Published Date 2021/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_915
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医学の進歩に伴い患者予後は改善していますが,それに伴い医療費も高くなっています.平成元年度の国民医療費は19兆7,290億円でしたが,平成30年度は43兆3,949億円と,30年で2.2倍に増加しました.高額な医薬品や治療方法がこの増加の原因の一つとしてあげられます.現在,最も高価な医薬品は,1回の治療で1億円を超すようなものまで出てきています.これほど高額な医薬品ではなくとも,たとえば慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia:CML)の治療でも毎月50万~60万円の医療費(薬剤費)が患者の負担となります.CMLは薬の進歩によってほぼ死なない病気となりましたが,最低でも数年以上治療薬を継続しなくてはいけません.自己負担額が3割としても,毎月20万円程度を長期にわたって負担することは,ほとんどの患者が不可能です.そこで利用されるのが,高額療養費制度です.今回は,高額療養費制度について最低限知っておいていただきたいことをまとめます.
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