綜説
上部尿路感染症に対するbottom-up approachの意義
金子 一成
1
1関西医科大学 小児科学講座
キーワード:
医療経済学
,
腎臓疾患
,
尿路感染症
,
尿路造影
,
排尿
,
瘢痕
,
膀胱尿管逆流
,
アルゴリズム
,
膀胱造影
,
放射線曝露
Keyword:
Cystography
,
Radiation Exposure
,
Algorithms
,
Economics, Medical
,
Cicatrix
,
Kidney Diseases
,
Vesico-Ureteral Reflux
,
Urination
,
Urography
,
Urinary Tract Infections
pp.397-402
発行日 2017年4月1日
Published Date 2017/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00639.2017234579
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近年、上部尿路感染症(UTI)を起こした乳幼児の管理方法について、Bottom-up approach(BUA)とTop-down approach(TDA)と呼ばれるアルゴリズムが提唱されている。本稿では、この2つの代表的な画像診断のアルゴリズムをめぐる議論について述べ、腎瘢痕の診断予測精度、放射線被ばく量、医療継続的側面、侵襲性について両アルゴリズムを比較した。BUAは上部UTIを起こした乳幼児全例に排尿時膀胱尿道造影(VCUG)を行って膀胱尿管逆流(VUR)を発見しようとする管理法である。これに対し、TDAは上部UTIを起こした乳幼児全例に、99mTc-DMSA腎シンチグラフィ-を実施し、異常を認めた場合のみVCUGでVURを検索するという管理法である。BUAとTDAのいずれのアプローチも一長一短があるが、日本においては上部UTIの乳幼児は大多数がDMSAを実施できない二次医療施設で診療されており、全例三次医療施設に紹介することは非現実的である。したがって、日本の現状ではBUAが現実的であると考えられる。
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