特集1 遺伝性腫瘍−放射線科医が担う新たな使命−
序説
五味 達哉
1
,
五味 直哉
2
1東邦大学医療センター大橋病院 放射線科
2がん研究会有明病院 画像診断部
pp.125-125
発行日 2023年2月26日
Published Date 2023/2/26
DOI https://doi.org/10.18885/CI.0000001160
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遺伝性腫瘍として家族性大腸腺腫症,遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC),Lynch症候群,Li–Fraumeni症候群などの病名は思い浮かぶが,実際に遭遇する機会はまれで,その都度本で調べることで対処しているのが多くの放射線科医の実状であろうかと思われる。疾患の細かい知見は必ずしも要求されてこなかった。しかし最近特定の遺伝性腫瘍の原因となる遺伝子を調べる検査の一部が保険適用となり,また多遺伝子パネル検査の普及により状況が急激に変化してきている。遺伝子検査により見つかった未発症の遺伝子変異陽性例に対して画像診断によるサーベイランスが行われる場合は,その運用,読影に放射線診断医が積極的にかかわることが求められ,それが早期発見,早期治療,予後に直結する。遺伝性腫瘍にみられる遺伝子変異が偶発的に見つかる機会も増えており,重複癌の検索や予防的アプローチなどで放射線診断医が貢献できる場面も増えている。まさに放射線科医が担う新たな使命といえる。
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