書評
救急症例に学ぶ! 骨軟部画像診断テキスト
野田 知之
1,2
1川崎医科大学運動器外傷・スポーツ整形外科教授
2川崎医科大学総合医療センター整形外科部長
pp.1345-1345
発行日 2025年12月1日
Published Date 2025/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_1345
- 販売していません
- 文献概要
救急外来で患者を前にしたとき,「とりあえずCTやMRIを追加しておこう」という判断は,今や多くの臨床現場で一般的な光景となっている.近年,画像診断技術の進歩とともにCT・MRIを容易に施行できるようになり,医療の質の向上に大きく寄与してきた.しかしその一方で,単純X線像の読影を十分に訓練しないまま高次の検査に頼る傾向が広がり,本来不要であった追加検査が行われるケースも少なくない.筆者自身の診療を顧みても,忙しい救急や外来でCTに “助けられた” 経験は数知れないが,同時に「単純X線像で見抜けたはずの所見」を後から悔やむ場面も少なくない.こうした現状は,わが国の整形外科診療における構造的な課題の一つといえよう.
© Nankodo Co., Ltd., 2025

