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本書は日本医学放射線学会から発表された「放射線科専門医研修カリキュラムガイドライン2014年版」にリストアップされた骨・軟部疾患を網羅するかたちで,要点,臨床的事項,病態生理・病理像,参考文献,提示された症例の画像所見がわかりやすく,簡潔に述べられている.また「脊椎疾患」,「先天奇形,発育異常」,「感染症,炎症性疾患」,「腫瘍・腫瘍類似疾患」,「外傷,障害」,「代謝・内分泌疾患」,「血液・骨髄疾患」,「関節疾患」,「その他の疾患」の大項目で9章が構成され,その大項目の中にガイドラインに沿った疾患が記載されている.内容を見てみると,最初に要点がいくつか記載されており疾患の概要を容易につかむことができる.さらに臨床的事項で疾患の特徴を理解し,病態生理・病理像の項目で疾患の本質を確認し,必要があれば直ぐに参考文献で疾患の詳細が解る.画像所見では典型的な症例の提示が行われ,単純X線所見,MRI像,CT像を中心に,その疾患に特徴的な所見が詳細に述べられている.特筆すべきは,図の説明が明快で,かつわかりやすく,丁寧であり,放射線診断専門医を目指す医師はもちろん整形外科医にとっても格好の書であると言える.「単純X線写真による骨腫瘍の良悪性の評価」,「骨折の分類・治癒過程・合併症」,「単純X線写真による関節炎の評価」の項目は総説的な記載がされており,読者にとってはその解説を理解することにより,骨腫瘍,骨折,関節炎に関しても,より正確な病態の把握および診断を順序立てて行うことができると考える.私は股関節外科が専門であるが,最近の股関節痛の原因として注目されている大腿骨頭臼蓋インピンジメント(femoroacetabular impingement:FAI)についてもわかりやすく述べられており,新しい疾患の概念も多く取り入れられている.また,疾患の表題の部分に専門医レベル,診断専門医レベル,指導医レベルの記載があり,それぞれのレベルで知っておく必要がある疾患を理解することができる.主な執筆者は日本骨軟部放射線研究会の会員であるが,執筆者の卓越した経験と知識が本書のいたるところに生かされており,本書を一読することで,読者が骨軟部疾患の病態を理解し,正確な画像診断を行うステップを確実に踏むことができると考える.
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