私論
小児整形外科の魅力
三島 健一
1
1名古屋大学整形外科准教授
pp.826-826
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_826
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小児整形外科に重きをおく整形外科医は数少なく,最大の学会である日本小児整形外科学会の会員数は約1,000人余り,しかも漸減傾向と聞いております.たしかに病態をインプラントによって劇的に修正できるといったダイナミックな要素に乏しく,最終的な治療効果をすぐには実感できないもどかしさがあり,超少子高齢社会の到来もあって,さもありなんです.一方で「成人のミニチュアではない」との箴言がある小児を特定の部位や疾患に限定せず全人的に捉え,ステークホルダーでもある保護者と意思疎通を図りながら,地味ながらも地道な医療を展開できることは,それはそれで一種の魅力ではないかと感じております.まれに成人とは異なり,治療の直接の受益者と方針の意思決定者が異なる状況に困惑させられる場面はありますが,日頃は小児特有の可塑性や再生力に助けられ,治療にシナジー効果を感じられることも,またある種の魅力ではないかと思います.
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