喫茶ロビー
第7回国際電子顕微鏡学会とミニフランスレンタカードライブ紀行
花岡 英彌
1
1井上記念病院名誉院長
pp.1096-1096
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_1096
- 有料閲覧
- 文献概要
私の旅行の第一の目的は1970年8月30日~9月5日にフランスのグルノーブルで開催された第7回国際電子顕微鏡学会に参加し,論文を発表することであった.論文の題名は「Paired cisternae in human tumor cells」という細胞学的で基礎的なものであった.これは私が二度目の留学で米国のクリーブランドにあるマウント・サイナイ病院で臨床の傍らDr. フリードマンのもとで腫瘍の電顕的研究を始め,2年目にケース・ウエスターン・リザーヴ大学へ移って本格的に,特に骨巨細胞腫瘍の電顕的研究に従事するようになった際に副次的に観察した腫瘍細胞内の特異な小器官に関する研究である.論文の内容は,分裂期の細胞内のクロモゾームの縁の核膜に相当する部分からpaired cisternaeが生じ,それが細胞質内へ伸び,その後,二つに分かれて普通の粗面小胞体になっていくことを明らかにした.本稿を書くにあたって,この論文の被引用論文数を調べたところ,1970年に『J Ultrast Res』に発表後,1970年代に28件,1980年代に19件,1990年代に6件(最終は1994年に1件)と25年にわたって引用され,好評であったことがわかった.
© Nankodo Co., Ltd., 2024