前腕遠位皮下組織に発生した孤立性線維性腫瘍の1例

Solitary fibrous tumor arising in the subcutaneous tissue of the distal forearm：report of a case

　孤立性線維性腫瘍（solitary fibrous tumor：SFT）はまれな線維芽細胞性腫瘍で，体のいたるところに発生し，中年成人に多く発生する．胸膜外発生のうち約40％は皮下組織に発生し，残りの症例は深部軟部組織や体腔部位（骨盤，腹腔，後腹膜腔など）に発生する^1,2）．「胸膜外」という用語は，2020年の世界保健機関（WHO）分類で正式名称から削除された^2）．腫瘍の大多数は良性の経過をたどるが，5～10％は局所再発や遠隔転移といった悪性の経過をたどることがある^2～4）．われわれは，他院で切除した後に局所再発と肺転移をきたした前腕遠位皮下組織発生SFTの1例を経験したので報告する．