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第9章 糖尿病・代謝・内分泌
[腸管代謝]糖尿病・代謝・内分泌疾患における腸管代謝
入江 潤一郎
1
1関西医科大学 内科学第二講座糖尿病科
キーワード:
運動療法
,
胆汁酸
,
カロリー制限
,
SIRT
,
nicotinamide
Keyword:
運動療法
,
胆汁酸
,
カロリー制限
,
SIRT
,
nicotinamide
pp.754-758
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika134_754
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Summary
・腸管は,外界から体内へ一方向性に,主に物質の獲得を担う臓器として理解されてきた.しかし近年,腸管内代謝産物の網羅的検討から,摂取した物質は腸管と腸内細菌が相互に影響しつつ代謝され,獲得されていることが明らかになった.
・たとえば,運動により腸管胆汁酸代謝が変容し身体能力が向上する,長時間運動で蓄積した乳酸が,腸管内に放出されプロピオン酸などに代謝され,生体に吸収されるため長時間の運動が可能になることが示された.
・間欠的絶食は,腸管Paneth細胞からのcyclic ADP ribose(ADP:adenosine diphosphate)放出を増加し腸管幹細胞のsilent mating type information regulation 2 homolog(SIRT)活性を上げ,腸管内細菌も変化させ,これらの変化をもって加齢性変化に拮抗している.
・このように腸管代謝機能を応用したさまざまな疾病に対する新たな治療開発が期待される.
© Nankodo Co., Ltd., 2024