糖尿病とは何か？ -「糖尿病」のない世界を目指して

▪糖尿病は，「インスリンの作用不足に基づく慢性の高血糖を主徴とする代謝疾患群」と定義されているが，現時点では血管合併症の抑制を目指した治療が行われている．

▪血糖マネジメントも含めて合併症の抑制方法は進歩してきたが，いまだに糖尿病を治癒させる有効な治療法はなく，また糖尿病に対する社会的な理解も十分とはいえない．

▪これはインスリンの作用不足によって生じる障害が糖代謝異常や血管合併症に留まらず，さまざまな臓器における障害を引き起こしていることが見過ごされていること，すなわち現在われわれが糖尿病という疾患を完全には理解できていないことが一因であると考えられる．

▪今こそ，糖尿病とは何かを理解し，「糖尿病」のない世界を目指すときがきている．