連載 Focus On
不明熱外来の現状
-不明熱という不確実性への対応
徳増 一樹
1
1岡山大学病院 総合内科・総合診療科
キーワード:
不確実性
,
医療における不確実性
Keyword:
不確実性
,
医療における不確実性
pp.1017-1021
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika132_1017
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とある症例を経験して,熱という表現型に対し,原因がわからないことで困っている人のために受け皿を作りたいと思うようになった.2019年5月に岡山大学病院に開設された「不明熱外来」は開設後3年半が経過し,徐々に症例が蓄積されている.不明熱外来と聞けば,その内情は感染性心内膜炎やリウマチ性疾患,自己炎症性疾患が多いのではないか,と考えるかもしれない.しかし,実際にはそれ以外にも機能性高体温症や薬剤関連の発熱を疑う症例も多い.
不明熱外来がなぜ難しいか.それは原因疾患が多様なだけでなく,原因がはっきりしないという不確実性が医師も患者をも不安にさせるからである.だからこそ,不明熱へのアプローチプロセスに関して確実性をもつことが大切であり,不明熱の診療はアプローチプロセスの連続である.不明熱という状態はあくまで,既知のさまざまな疾患を十分否定・除外するときのみ使える用語と考え,診断・治療の経過中のさまざまなステップにおいて,常に現在の症状・症候の原因となりうる基礎疾患ならびに合併病態を否定しながら診療を続け,既知の疾患・病態への潜在的な可能性を考慮し続ける姿勢が重要である.
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