Japanese
English
投稿 症例
甲状腺ホルモン製剤投与がWernicke脳症の誘因となった可能性がある2例
Two cases in which administration of thyroid hormone preparation may have triggered Wernicke’s encephalopathy
児島 侑紀
1
,
山口 哲央
1
,
清水 雅之
1
,
尾崎 香子
1
,
金 鎬俊
1
Y. Kojima
1
,
T. Yamaguchi
1
,
M. Shimizu
1
,
K. Ozaki
1
,
K. Kim
1
1若草第一病院内科
pp.1175-1179
発行日 2022年12月1日
Published Date 2022/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika130_1175
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は じ め に Wernicke脳症は,ビタミンB1の不十分な摂取や吸収に加え,炭水化物の継続的な摂取により生じる.アルコール依存症に伴う低栄養が基礎疾患の一つであるが,悪阻,飢餓,胃切除後,血液透析など長期の低栄養やビタミン欠乏症の原因となる疾患においてもみられる.また,甲状腺中毒症で代謝亢進すると,糖質をエネルギーに変換する補酵素であるビタミンB1が消費され,脚気やWernicke脳症などの欠乏症を引き起こすことも報告されている1).今回われわれは,甲状腺ホルモン製剤投与が誘因となり,Wernicke脳症を引き起こした可能性がある2例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
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