Book Review
心音ふしぎ探検―坂本二哉の心臓病診断実習補講
大門 雅夫
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1東京大学医学部附属病院検査部 講師
pp.402-402
発行日 2022年3月1日
Published Date 2022/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika129_402
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- 文献概要
著者である坂本二哉先生は,わが国における臨床心臓病学の父ともいえる医学者であり,優れた臨床医である.数多くの世界的な研究業績を発表され,心臓病診断学の礎を築かれた.さらに,日本心臓病学会や日本心エコー図学会など多くの学会を設立し,心臓病学を牽引した数多くのリーダーを育て上げた教育者でもある.筆者の師であり,心エコー図学のレジェンドでもある故 吉川純一先生(元大阪市立大学教授)もその門弟の一人である.坂本二哉先生がとくに力を入れて確立されたのが,問診,視診,触診,聴診を主体としたphysical examinationによる診断学であり,なかでも聴診はこの分野のバイブルともいえる『臨床心音図学』(南山堂,1963年)に体系的にまとめられ,現在われわれが学んでいる聴診法の基礎となっている.一方で,さまざまな教科書に記載されている聴診所見を知識としては知っていても,臨床技術として使いこなすことは難しいと考える人も多い.そのため,physical examinationに関する講習会は現在でも受講者で溢れ返っている.これには,学校で聴診を教えるほうも学ぶほうも知識としては知っていても,そこに至る理論的背景や実体験が不足していることも無関係ではない.
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